バイク事故について
バイクの事故の場合と四輪車の事故の場合とで,損害賠償の基準が変わることはありません。しかし,バイク事故の場合,次のような特徴があることから,特に事故直後から,必要な治療や検査,残しておくべき証拠等について,専門家のアドバイスを受けることが重要といえます。
当事務所では,四輪車による事故のみならず,バイク事故のご相談も多数お受けしております。後に適正な補償を受けるために,早期にご相談されることをお勧めいたします。
バイク事故の特徴
事故の態様
バイク事故では,四輪車の事故では見られない事故態様があります。
ひとつめは,転倒事故です。バイクは,通常,2つのタイヤでバランスを取りながら走行するため,バランスを崩して転倒し,事故に至るケースがあります。比較的軽度のスリップでもバランスを崩して転倒しやすいことから,高速度で走行していてスリップをして転倒をすれば重大な事故になりやすいのです。
ふたつめは,見落としによる衝突事故です。バイクは四輪車と比べて車体が小さいため,他の車両から見落とされやすいとされています。また,実際よりも遠くにいると錯覚したり,実際の速度よりも遅いと感じられることもあります。さらに,渋滞の列の左側を直進するバイクや交差点で直進中のバイクと右折車両との衝突事故も頻発しています。その原因の多くは,車体が小さいために,相手車両の運転者がバイクを見落したことによるものです。
事故による怪我が重篤になりやすい
バイク事故は,四輪車の事故に比べ,重度の怪我を負い,後遺障害が残る場合が多いといえます。四輪車の場合,車体が乗車中の人を守りますが,バイクの場合,ヘルメット以外に身体を守るものがないため,ひとたび交通事故に遭うと,重度の怪我につながりやすいのです。
事故の衝撃の程度によっては,お亡くなりになることもあります。また,ヘルメットを装着していても,頭部外傷により高次脳機能障害になる可能性もあります。頭部以外でも,胸部を打撲することによって内臓を損傷すること,足を骨折したり,腕を脱臼したりすることもあります。
このように, 重い怪我を負ったり後遺障害が残ったり,最悪の場合,死亡に至る場合もあるのがバイク事故の特徴です。
過失割合について争いになるケースが多い
バイク事故は,停車中ではなく走行中の事故が多いため,過失割合が争いになるケースが多いことも特徴です。
バイク事故の場合も,四輪車の場合と損害賠償の基準は変わりません。ただし,バイク事故の場合は,ヘルメットの装着や運転の安全性によって,過失割合に差が出る傾向にあります。そのため,適正な賠償金額を獲得するためには,事故直後の段階からの対応が非常に重要になります。
バイク事故治療の注意点
バイク事故で多い怪我が骨折です。
もっとも,骨折はレントゲンで比較的容易にかつ早期に発見できるので,治療が遅れるということは通常はあまりありません。
見逃されがちなのが,肩や膝などの怪我と頭部の外傷です。バイク事故で骨折があった場合,骨折の処置を優先することが通常です。肩や膝に痛みがあっても,レントゲンで骨折所見がなければ特段の処置がされないことがあります。ところが,肩については腱板などが損傷していたり,膝については半月板などが損傷していたりすることがあります。しかし,腱板損傷や半月板損傷はレントゲンではなく,MRIによらなければ判断できません。
事故から時間が経過した後にMRI検査が行われて損傷が判明した場合,保険会社や事故の相手方は,事故による負傷ではないと争われることもあります。そのため,肩や膝の痛みが治らないようであれば,できるだけ早期にMRI検査を実施する必要があります。
また,頭部外傷の場合,初診時にCTで頭部に明らかな異常がないと,それ以上の精密検査がされないことがあります。医師が「異常なし」と判断したならそれを信じてしまうでしょう。しかし,事故後数日から1週間たっても以下のような症状がある場合,高次脳機能障害の可能性があり,それが見逃されているおそれがあります。
・物の置き場を忘れる,新しいことが覚えられない(記憶障害)
・一つの物事に集中できない(注意障害)
・指示されないと行動を開始できない(遂行機能障害)
・状況に応じた行動や感情をコントロールできない(社会機能障害)
・以前に比べて怒りっぽくなった
・言葉を発語しようとしてもその言葉が思い出せなくなった
このような場合は,改めて頭部の画像検査をするとともに,高次脳機能障害であることが判明した場合には,それに対応した医療機関で治療をする必要があります。
バイク事故についても当事務所にご相談ください!
当事務所ではバイク事故の取り扱いも豊富です。
当事務所で実際に取り扱ったバイク事故の解決事例をご紹介いたします。
いずれについても,ご相談の早期の段階で,適切な後遺障害の認定や適切な過失割合の認定に向けて,必要な治療・検査・資料の収集をアドバイスした事例でした。
例えば,適切な後遺障害の認定を受ける場合,後遺障害診断書に過不足なく必要な情報を書いてもらわなければなりませんが,本来は異常所見があるのに医師が意見書に「所見なし」と書いてしまい,それがそのまま保険会社に渡ることがあります。当事務所では,負傷部位,傷病名,自覚症状等から認定される後遺障害を想定し,後遺障害診断書の作成に当たって,必要な検査をアドバイスしたり,場合によっては医師と直接折衝して後遺障害診断書に必要な事項を記載してもらうこともあります。
被害者の方が適切な補償を受けられることを目指しています
事故によって負ったお怪我が治癒するに越したことはありません。しかし,残念ながら,治療の甲斐なく後遺障害が残存してしまうケースが存在します。
重度の後遺障害が残り被害者の介護が必要な場合,一家の経済的支柱の方がお亡くなりになられた場合などに十分な補償が受けられない場合,ご本人にもご家族にとっても,大きな不安が残ると思います。当事務所では,こうしたご不安を少しでも解消できるよう,適切な補償を獲得することを常に目指しています。
重度の後遺障害が残存したりお亡くなりになった場合,損害賠償額は数千万から億単位の多額になることも多いのですが,少しの見通しの違いや見落としで結論に大きな差が出ることも少なくありません。当事務所のような交通事故の取り扱い件数が多く,専門性が高い事務所に,早期にご相談されることをお勧めいたします。